こんにちは設計くんです!
今回はSMCの「エアシリンダ」について解説していこうと思います!
エアシリンダは幅広い設備で使用されるエアアクチュエータですが、
「エアシリンダって何?」
「どうやって選定するの?」
「中はどうなっているの?」
「オートスイッチ?スピコン、何それ?🤨」
と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、エアシリンダについて複数の記事に分けて、初心者の方にも分かりやすく解説していきます!
① そもそも「運動エネルギー」って何?
エアシリンダのカタログを見ていると、「許容運動エネルギー」という言葉が出てくることがあります。
「運動エネルギーって何?🤔」
と思う方もいるのではないでしょうか。
簡単に言うと、動いている物体が持っているエネルギーのことです。
例えば、同じ速度で動いている場合でも、
- 軽いワーク
- 重いワーク
では、重いワークのほうが大きな運動エネルギーを持っています。
また、同じ重さのワークでも、
- ゆっくり動いている
- 速く動いている
では、速く動いているほうが運動エネルギーは大きくなります。
つまり、
「重い」+「速い」=大きな運動エネルギー
というイメージです。
エアシリンダの場合、ワークを動かしてストローク端で停止させる際に、この運動エネルギーによる衝撃が発生します。
そのため、シリンダを選定するときは「ワークを動かせるだけの推力があるか」だけでなく、動いているワークを安全に止められるかという点も確認する必要があります。
次は、実際に運動エネルギーを計算するための公式を見てみましょう!
② 直線運動の運動エネルギー
まずは、ワークを直線的に動かす場合の運動エネルギーについて見ていきましょう。
直線運動する物体の運動エネルギーは、次の式で求めることができます。
- E:運動エネルギー(J)
- m:質量(kg)
- v:速度(m/s)
この式を見るても分かるように、運動エネルギーはワークの質量と速度によって変わります。
例えば、同じ速度で動かす場合、ワークが重くなるほど運動エネルギーは大きくなります。
また、特に注意したいのが速度は2乗されるということです。
速度が2倍になると、運動エネルギーは4倍になります。
つまり、
「ワークが重い」+「動作速度が速い」
ほど、シリンダが停止するときに受ける負担も大きくなります。
そのため、エアシリンダを選定するときは、単純に「このワークを動かせるだけの推力があるか?」だけではなく、動かすワークの質量や速度から、許容運動エネルギーを確認することも重要です。
特に重量のあるワークを高速で動かす場合は、カタログに記載されている許容運動エネルギーを必ず確認するようにしましょう。

シリンダの動作速度を遅くすることで、運動エネルギーを小さくすることができます!
ただし、速度を遅くしすぎると、シリンダが正常に動作しないなどの不具合につながる場合があります。
そのため、カタログに記載されている使用速度の範囲内で、適切な速度に調整しましょう!
③ 回転運動の場合は「慣性モーメント」に注意!
ここまで紹介した運動エネルギーは、ワークが直線的に動く場合について説明しました。
では、ワークを回転させる場合はどうでしょうか?
ロータリアクチュエータなどを使ってワークを回転させる場合は、「慣性モーメント」というものを考える必要があります。
回転運動の運動エネルギーは、次の式で求めることができます。
E=1/2 Iω²
- E:運動エネルギー(J)
- I:慣性モーメント(kg・m²)
- ω:角速度(rad/s)
ここで登場する「慣性モーメント」とは、簡単にいうと「物体の回転させにくさ」を表す値です。
例えば、同じ重量のワークでも、回転軸から離れた位置に重量があるほど、回転させるのが難しくなります。
つまり、ロータリアクチュエータを選定するときは、
「ワークが何kgあるか?」
だけではなく、
「回転軸からどれくらい離れた位置に重量があるか?」
ということも重要になります。
特に、重量のあるワークを高速で回転させる場合は、慣性モーメントが大きくなり、停止時に大きな負荷がかかる可能性があります。
そのため、ロータリアクチュエータを使用する場合は、メーカーのカタログに記載されている許容慣性モーメントや許容運動エネルギーを確認し、使用条件に合った機種を選定することが大切です。
📖 実際に計算する際は、メーカーのカタログを確認しましょう!
実際に運動エネルギーを計算・確認する際は、使用する製品のメーカーやシリーズに対応したカタログを確認することが大切です。
例えば、SMCのロータリアクチュエータのカタログには、シリーズごとの許容エネルギーや速度調整可能範囲などが記載されています。
👉 SMC ロータリアクチュエータ 技術資料 ⬅️運動エネルギーの計算方法も詳しく載っています。
④ 実際にカタログの「許容値」を確認してみよう!
ここまで、直線運動と回転運動の運動エネルギーについて紹介しました。
では、実際にシリンダやロータリアクチュエータを選定するときは、どうすればよいのでしょうか?
ポイントは、計算した運動エネルギーが、その製品の許容範囲内に収まっているかを確認することです。
メーカーのカタログには、製品ごとに
- 許容運動エネルギー
- 許容慣性モーメント
- 使用速度範囲
- クッションなどの使用条件
といった情報が記載されています。
そのため、まずは使用する製品のカタログを確認し、自分の使用条件に合った製品なのかを確認することが大切です。
特にロータリアクチュエータの場合は、ワークの質量だけでなく、回転軸からの距離やワークの形状によって慣性モーメントが変わります。
「重量がこのくらいだから大丈夫!」
と重量だけで判断せず、実際の使用条件をもとに確認しましょう。
⑤ 許容運動エネルギーを超えるとどうなる?
では、もしシリンダやロータリアクチュエータの許容運動エネルギーを超えて使用すると、どうなるのでしょうか?
動いているワークを停止させる際には、ストローク端などで大きな衝撃が発生します。
許容範囲を超えた状態で使用すると、その衝撃をシリンダ側で吸収しきれず、
- シリンダに大きな衝撃が加わる
- 部品の寿命が短くなる
- 場合によってはシリンダの破損につながる
といった問題が発生する可能性があります。
特に、重量のあるワークを高速で動かす場合は注意が必要です。
「シリンダの推力は足りているから大丈夫!」
と思ってしまいがちですが、ワークを動かせることと、動いているワークを安全に停止できることは別の話です。
そのため、シリンダを選定するときは、
① 必要な推力があるか
② 使用速度が適切か
③ 許容運動エネルギー以内に収まっているか
を確認することが重要です。
⑥ エアクッションやラバークッションがあれば、許容値を超えていい?
ここまで読んで、
「エアシリンダにはクッションが付いているものもあるけど、クッションがあれば許容運動エネルギーを超えても大丈夫なの?」
と思った方もいるかもしれません。
結論からいうと、クッションが付いているからといって、許容運動エネルギーを超えて使用していいわけではありません。
エアシリンダのクッションには、ストローク端で発生する衝撃を緩和する役割があります。
しかし、クッションにも対応できる範囲があり、シリンダの種類やサイズ、クッション方式などによって許容される条件が異なります。
そのため、
「クッションが付いているから大丈夫!」
と判断するのではなく、使用するシリンダのカタログに記載されている許容運動エネルギーや使用条件を確認することが大切です。
また、重量のあるワークを高速で動かすなど、許容値を超えてしまう場合には、速度を下げたり、減速回路や外部ショックアブソーバを使用したりするなど、別の対策を検討する必要があります。

クッションが付いていることで、許容運動エネルギーが大きく設定されている製品もあります!
ただし、クッションの種類やシリンダのサイズなどによって許容値は異なるので、必ずカタログで確認しましょう!
まとめ
今回は、エアシリンダやロータリアクチュエータを使用する際に重要な、「許容運動エネルギー」について解説しました!
ポイントをまとめると、
- 直線運動では、ワークの質量と速度から運動エネルギーを確認する
- 回転運動では、質量だけでなく、回転軸からの距離やワークの形状などから「慣性モーメント」を考える
- シリンダやロータリアクチュエータには、製品ごとに許容運動エネルギーや許容慣性モーメントが設定されている
- 「動かせるか」と「安全に止められるか」は別の話
- クッションが付いている製品でも、許容運動エネルギーを超えて使用してはいけない
- クッションが付いていることで、許容運動エネルギーが大きく設定されている製品もある
- 実際の使用条件に合わせて、必ずメーカーのカタログで許容値を確認する
特に、**「重量がある」「動作速度が速い」**という条件では、運動エネルギーが大きくなるため注意が必要です。
また、許容値を超えそうな場合は、速度を下げたり、減速回路や外部ショックアブソーバを使用したりするなど、使用条件に合わせた対策を検討しましょう。
エアシリンダを選定するときは、単純に「推力が足りているからOK!」ではなく、
「このワークを動かせるか?」だけでなく、「安全に止められるか?」
というところまで確認することが大切です!💪
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
次回も機械設計に役立つ内容を、初心者の方にも分かりやすく解説していきます!🔧

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